発信を始めたいのに、名前も、内容も、その先の仕組みも決まり切らず、ずっと考え続けている。そんなときは、今の自分にできる形で、まず始めてしまってください。意味も形も、動き出した後からいくらでもつけられます。

僕の屋号「Nature Sales」も、毎朝のビジネスラジオ「朝ビジ」も、始めた後で意味を持たせたり、目の前の問題に合わせて形を変えたりしてきました。

これは、僕自身が屋号や発信を育ててきた話です。最初の形が決まらず足踏みしている方に、どこまで考えたら動き始めるか、その判断の参考にしていただければと思います。

Nature Salesは、申込書の前で生まれた名前

起業してすぐ、岐阜県が運営するスタートアップ支援施設へ、事務所を借りるための申し込みに行きました。受付の書類に、屋号を書く欄があったんです。

ところが、僕は屋号を全く考えていませんでした。目の前には、スーツをきちんと着た担当の方が待っている。僕は人を待たせるのが極端に苦手で、人の時間を奪うのは、苦手というより嫌いです。焦りました。

自然が好きだから「ネイチャー」。売上アップを支援する仕事をするつもりだから「セールス」。とっさに組み合わせて、「ネイチャーセールス」と書いて出しました。アルファベットまで思いつかず、カタカナで書いた記憶があります。

悩んだのは、たぶん1分ほど。屋号が生まれるまでに、2分もかかっていないと思います。それでも今は、この名前からいろいろな話ができます。

自然体で事業を営みながら、きちんと収益を積み上げる。その人の本質や強み、得意分野を生かし、自分らしく商売をする。Nature Salesという名前から、今はそうした考え方を説明できます。

この話をすると、「すごいですね、よくそんな言葉を考えつきましたね」と言っていただけます。でも、いま説明した意味は、全部後付けです。考えていなかった結果、生まれたものです。

所長に教わった、考える時間と動くタイミング

こういう考え方で特に影響を受けたのが、住宅会社時代の所長です。とても論理的に考える人で、それなのに行動も速い。僕は約7年半の在職期間のうち、4年ほどをその所長のもとで過ごしました。

プランなどに悩んでいると、よく言われました。

「考えるのはいいことだ。ただ、5分以上考えるな。5分考えて進展があるなら、考えていい。進展がないなら、考えても無駄だ。とりあえず動け。動きながら考えろ」

所長は、短時間で考えたうえで、「今の条件では、これ以上進まない」と思ったら動いてしまう人でした。行動すれば問題点が見えてくる。「なるほど、こうなるのか。じゃあ、こうしよう」と、その後の動き方を変えていくんです。

僕には5分という時間で叩き込まれましたが、5分は厳しい、30分くらいなら、と思う人もいるでしょう。全員が5分にそろえる必要はないと思っています。見たいのは時間の短さよりも、考えることで進展が生まれているかです。

立ち止まって考えること自体は、悪いことではありません。ただ、ジョブズの言葉を借りるなら、「1週間前と同じことを言っていたら、やばいと思え」。考えることは必要でも、1週間前と同じことを言っているなら、それは間違っている、という話です。

同じところで考えが止まっているなら、今の条件のまま頭の中だけで答えを出そうとしていないか。その判断をする癖は、所長から強く受け継いだと思っています。

朝ビジは、ウォーキング中の雑談から始まった

僕が毎朝配信している朝ビジも、最初は雑談の場でした。Clubhouseが流行していた頃に、「ウォーキングをしている間、みんなで話しませんか」と始めたんです。周りから見れば、「ケイイチさんもブームに乗ったね」「流行りが好きですね」くらいのもの。誰もがやっていることを、誰もがやっている感じで始めただけでした。

当初は、参加者にもどんどんスピーカーになっていただく対話形式です。その雑談の中で、「ケイイチさんは、これについてどう考えますか」と聞かれるようになり、ビジネスの話を発信する場へ変わっていきました。

続けるうちに、「リアルタイムでは聞けないので、アーカイブがあるとうれしい」という声が出ました。それで、300日目にアーカイブ配信を加えています。

さらに、学習サービスのゼロリスを始めると、過去の録音を会員向けのコンテンツとして残すようになりました。過去の話を聞きたいから入会する方もいて、音声は有料サービスの中でも役割を持つようになったんです。

700日目を節目に、Instagramでの発信も始めました。SNSで知っていただき、期間限定アーカイブからメルマガへ登録していただき、過去回は会員向けの学びにもなる。そういう仕組みへ、後から広がっていきました。

今、周りを見渡してみてください。あの頃いっせいに音声配信を始めた人たちは、もうほとんど残っていません。流行に乗っただけの雑談が、いつの間にか唯一無二の場になりつつあります。

この形を作ったのは、質問や要望が出てきたときに、目の前の問題へ対応した積み重ねです。最初から考えて作ったものは、ひとつもありません。

完成を待つより小さく動き、反応を材料に改善する流れを示した図解

使いにくさに出会ったときも、次のやり方を考える

この考え方が癖になると、トラブルにも強くなります。ありがたいことに「トラブルに強いですね」と言っていただくことがありますが、問題が起きたら対処しよう、くらいの感覚でいるだけです。だから、問題が多くてもあまり動じません。

この癖は、普段使っている仕組みに不便を感じたときにも出ます。僕は、プラットフォームに対して「あそこが使いにくい」と言い続けるより、「じゃあ、どうすればいいのかな」と、自分で解決策を考えるほうへ進んでしまいます。

これは良い面ばかりでもありません。モニターとして「悪いところを教えてください」と聞かれると、うまく答えられないことがあります。不便さを強く意識する前に、自分なりに対処してしまっているからです。

良い点も悪い点もあります。ただ、問題に出会うたびに「じゃあ、どうしようかな」と動き方を考え直すほうが、僕にとってはずっとストレスがありません。


ただ続けるだけの「継続は力なり」は間違っている

僕は以前から、継続は力なりは間違っている、と言っています。鳴かず飛ばずのものをいくら続けたところで、それはただの自己満足です。まず始めたこと自体は評価できます。ただ、そこから「もっと良くするには、どうすればいいか」と考えながら続ける。そこまでやって、継続は力になります。

朝ビジのような仕組みを作りたいと、一生懸命に構想を練っている方から声をかけていただくことがあります。目標にしていただけるのはありがたいのですが、本音を言うと、考えても生まれないよ、と思っています。僕自身の始まりは、歩きながら話す雑談でした。まず、やりましょう。やってから、後付けでどんどん大きくしていけばいい。僕はそうやって生きています。

今すでに始めていることがあるなら、そこから改善を考えてみてください。実際に動かして分かった問題が、その材料になります。それをぐるぐる回しながら検証していけば、いつしか「そんなすごい仕組みを作ったんですね」と言ってもらえるものに進化します。

皆さんもぜひ、この発想を身につけて、うまく後付けで生きていってください。

Follow me!