僕が開催した公式LINEの運用セミナーで、「リスト」というお客様の呼び方が好きではない、という趣旨のコメントをいただいたことがあります。正確な言い回しは忘れてしまいましたが、その気持ちは、すごくよく分かりました。
僕も最初は、「お客様をリスト呼ばわりするとは何事だ」と思っていたんです。一人ひとり、人格のあるお客様ですよ、と。セールスやマーケティングを学ぼうとして、こういう言葉に引っかかってしまう方は、僕と同じかもしれません。
ビジネス用語への嫌悪感は、持ち続けていていいと思っています。ただ、用語が嫌いだからといって、学ぶことまで拒絶するのは違う。学ぶときには共通言語を知り、お客様に伝えるときには、自分の中で解釈して届ける。僕はそうやって向き合っています。
僕は、言葉を知らないまま実践していた
実は僕、リストマーケティングという言葉を知らないまま、リストマーケティングをしていた人間です。現場で「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤して、後から「僕がやっていたのは、リストマーケティングなんだ」と知りました。
だから、その言葉を初めて聞いたときは、なんだか嫌な言葉だなと思ったんです。お客様が並んでいるところへ、「今日もたくさんリストが来ましたね」と言うような感じがして。でも、僕はお客様へ「リスト」と呼びかけたことはありません。
セミナーでコメントをいただいたときも、僕はこう返しました。
すごく分かります。でも安心してください。その言葉、お客さんには言いませんから。
お客様へ「リストを集めていますので、ここへ書いてください」と伝えるような使い方は、僕は間違っていると思っています。
学ぶ場では、共通言語を避けない
お客様にそのまま使いたくない言葉でも、学ぶ場では必要になります。僕自身、マーケティングを教える立場になって、方法を分かりやすく伝えたり共有したりするには、ある程度の共通言語が要ると感じています。
嫌いな用語を僕だけの造語に変えれば、その場では伝わるかもしれません。でも、教わった方が後でネットでもっと勉強しようとしたり、別の人と話したりするとき、一般的な言葉を知らないままだと、そこから学びが広がらなくなります。
僕がずっと教え続けるわけではないと思うんです。その方がほかの場所でも経験を重ねていくことを考えると、共通言語として使われている言葉は、あえて伝える必要があるのかなと思うんです。
僕は、用語を知ったうえで、お客様にどう伝えるかを自分で考えます。ビジネス用語に対しては、いいところを吸収しつつ、「お前らを利用してやる」ぐらいの感覚でいいと思います。嫌いな言葉を使っているというだけで一歩引いてしまうと、多分、自分の商品を広めるために必要な情報まで手に入らなくなります。
お客様には「アポイント」より「お約束」
学んだ言葉は、お客様に伝える前に、自分の中で翻訳します。僕の場合、「アポイント」という言葉も、こちらからお客様へは使いません。「お約束の日が近づいています」といった言い方をします。
ただ、お客様から「次のアポの日はいつでしたっけ」と聞かれることはあります。そのときは僕も、「次のアポイントは……」と、お客様に合わせて返します。
そこで頑なに「次のお約束はですね」と言い直そうとすると、かえってやりにくくなりますから。この辺は臨機応変です。自分から使わないことと、相手が使った言葉に合わせることは、両立できます。
教えるときは、用語と普通の言葉を両方伝える
お客様に合わせて話すのと同じように、セミナーで教えるときも、言葉の伝え方には気を遣っています。専門用語を使うときは、必ず一般的な言葉で説明を添えるようにしています。
たとえば「ブランディング」という言葉が出たら、「難しい言葉ですよね。これはこういう意味なんです」と一言添える。用語を避けたせいで、後からほかの場所で話ができなくなるのも嫌ですし、用語だけにとらわれて解釈がずれてしまうのも嫌なんです。だったら、両方伝えればいいじゃない、ということです。

嫌悪感を、学びを止める理由にしない
ビジネス用語に嫌悪感がない方を、否定するつもりはありません。僕と同じように抵抗があるけれど、自分の商品をお客様へ届けるためには学ぶ必要がある、と思っている方に、この向き合い方を参考にしていただきたいんです。
学んだことを、そのままお客様へぶつけなくていい。今の仕事でも、学んだ言葉を自分なりに解釈して、普通の言葉に翻訳して伝えることを試してみてください。お客様がすでに使っている言葉なら、無理に言い直さず、相手に合わせて返してみる。
「リスト」という呼び方への違和感は、お客様を一人ひとりの人として見ている感覚でもあります。その感覚は持ったまま、学んだものを自分の中で翻訳して届ける。自分の商品に気づいてもらうために、僕は嫌悪感とも付き合いながら、マーケティングを学んでいきます。
