僕のところには、お客様から「このサービス、安すぎますよ」と言われて、値上げを考えているという相談が来ます。中には、その言葉を受けて、もう値上げしたという方もいるんです。
嬉しい言葉ですよね。ただ、その一言を価格の判断として受け取っていいのでしょうか。LP(商品の販売ページ)を「もっと短くしたほうがいい」と言われたときも、同じことが起こります。
ビジネスの助言は、言葉だけで判断すると危ない。誰が、どの立場から言っているのか。自分が置かれている状況に合うのか。そこを見たうえで受け取ってほしいんです。
「安すぎる」は、まず満足してくれた言葉として受け取る
お客様の「安すぎる」は、褒め言葉として使われています。すごく満足して、感動してくださったから出てくる言葉なんですよ。
僕は、値上げの相談を受けると、こんなふうに聞きます。「では、その商品を『値段相応でした』と言われたら、満足ですか?」
「値段相応でした」と言われて、満足ですか。僕は、むしろマイナスの評価として受け取ります。商品は、購入者に「安すぎる」と思っていただけないといけないんですよ。
もちろん、値上げするなという話ではありません。「本当に安すぎないかな」と検討するきっかけにするのはいい。ただ、褒め言葉をそのまま根拠にして高くすると、何も売れなくなることもあります。値上げしても、なお「安すぎる」と言っていただける商品にしてほしいんです。
満足してくださったなら、「そう思っていただけたなら、ぜひ他の方にも紹介してください」とお願いするのもいい。僕は、すぐ値上げへ走るより、紹介につなげてもらったほうがいいと思っています。
LPが長いと言った人は、その商品のターゲットですか?
LPの「もっと短くしたほうがいい」という助言も、言った人の立場を見ます。僕がLPを作ったとき、クライアントさんから、奥さんに見せたら長すぎる、読みづらいと言われた、と聞くことがあります。
そこで僕は、奥さんはその商品に興味があるのかを尋ねます。すると、全然興味がないと返ってくる。そりゃそうだ、興味がないんだもん、という話なんですよ。
逆に、すでに購入して商品をよく理解している人も、長いと感じます。知っている説明をもう一度読まされるより、申込みボタンがどこにあるかを知りたい。興味がない人と、理解しきっている人は、理由が違っても「短くして」と言うんです。
でも、LPを読む本来の相手は、その商品を初めて見て、なおかつ興味がある人です。その人が「こういう商品なんだ」と理解するために読んでいる説明まで削ると、必要な情報の少ない、不親切なページになってしまいます。
LPを人に見てもらうなら、ターゲットの人に見てもらってください。あるいは、そのお客様の視点に立ってページを見られる専門家です。短いほうがいい場合もありますが、誰の感想かを外して、長さだけを変えないでほしいんです。

同じ言葉でも、売る側と買う側で使い方が変わる
「安すぎる」は、お客様が満足してくださった褒め言葉。「LPが長い」は、商品への興味や理解度によって出てくる言葉でした。よく聞くビジネスの言葉にも、使う立場を取り違えると、おかしくなるものがあります。
たとえば「お客様は神様だ」。これは、販売者が、お客様へ失礼のないようにしようと自分に向けて使う言葉です。買う側が自分を神様扱いするための言葉ではありません。僕は、レストランで横柄な態度を取る人とは、仕事以外の付き合いでも距離を置くようにしています。
「勉強代だと思って」も同じです。買う側が、自分に合わない商品を選んだ経験から学ぶために使うなら分かります。でも、売る側が、満足していないお客様へ「勉強代だと思ってください」と言うのは、僕はおかしいと思うんです。売るべき相手へ売れるように購入までの流れを考えることも、販売者の仕事です。
「石の上にも3年」で、何を続けようとしているのか
自分の状況に合うかを考える必要があるのは、継続を勧められたときも同じです。僕が前の会社を辞めようとしたとき、引き止めるためによく使われたのが「石の上にも3年」でした。
上司にスナックへ連れていかれ、そこのママからも、あと1年でも頑張ってみたら見える景色が変わる、と説得されたことがあります。なんで僕は、見ず知らずの人に説得されているんだろう。むしろ辞めたい気持ちが高まった記憶があるんですよ。ちなみに、その会社には7年半ほど勤めていました。
僕自身、毎朝の音声配信「朝ビジ」を続けてきました。でも、いつか何かが見えるはず、というアバウトな未来に向かって耐えているわけではありません。続けた先にどんな未来が見えるかを想定して動き、細かい改善を重ねてきました。昔と比べると、やっていることは全然違います。
聴いてくださる方から反応をいただけるから、続けています。地道な継続は必要です。その先を見て、改善もしながら続けることと、とにかく我慢して居続けることは、分けて考えてほしいんです。
「情報はパクられると思え」は、パクる側の免罪符にならない
継続の助言を、自分をただ我慢させる言葉にしてしまうと困る。同じように、発信でよく聞く「情報はパクられると思え」も、使う側を間違えないでほしい言葉です。
僕は、これは発信する側が自己防衛の意識を持つための言葉だと考えています。パクる側を肯定する言葉ではありません。僕も人の意見を参考にしますが、コピーして貼り付けたり、語尾だけ変えたりして終わらせません。自分だったらどうか、自分の経験を交えて解釈し、自分の言葉で発信しています。
助言を受けたら、言葉が出てきた立場へ戻る
値上げを勧めるように聞こえた一言も、満足の表現として使われています。LPを短くする助言も、商品を知りきっている人と初めて見る人では、必要な説明が違うんです。相手に悪気がなくても、受け取り方次第で、自分の商売を崩すことがあります。
今あるLPを「長い」と言われたら、まず、その人が商品に興味を持っているか、すでにどこまで知っているかを確かめてみてください。初めて商品を見る、興味のある人が必要としている説明まで消していないか。LPを直すときに見てほしいのは、そこです。
