住宅営業をしていた頃、お客様を途中で不安にさせてしまい、関係がぎくしゃくしたまま引き渡しを終えたことがあります。恥ずかしながら、僕はリカバリーできた事例をあまり知りません。一度しこりが残ってしまうと、何の枷もなく笑い合える関係には、なかなか戻れないんです。

一度不安になったお客様は、次の不安材料を探し始めます。本来なら褒めていただけるはずの対応まで、不安材料として受け取られてしまう。逆のループが始まるんです。こうなると、正直、何をやってもうまくいきません。

不安になってもらってからの対策は、本当に難しい。だから不安にさせないことが一番重要です。住宅営業やセミナーで実践してきた、見通しや回答の予定を先に伝える方法をお話しします。

住宅営業では、現在地と今後の計画を共有した

お客様は、こちらが思う以上に「この先どうなるのか」を気にしています。住宅営業なら、組み立ての日に雨が降りそうなだけでも、「予定どおり進むのだろうか」と不安になることがあります。

僕が住宅営業で共有していたのは、「今、私たちはこの段階にいます」「今後は、こういうふうに話を進めます」という計画です。お客様が、どの段階を踏んで進んでいけばよいか、今は何をすればよいかが分かるようにしていました。

この考え方は、僕が運営する学習サービスのゼロリスでも意識しています。リストマーケティングの知識を大量に並べるだけでは、何から見ればよいか分かりません。そこで、メルマガの自動化まで進むための道筋を示し、「今はここ、次に必要なのはこれ」と分かるものを作るようにしています。

段取りがこちらの頭の中にあるだけでは、お客様の見通しにはなりません。相手に見える形になっているかどうかで、お客様の不安は全然変わってしまうんです。

接続トラブルも、対処を先に知っていれば慌てにくい

僕が参加したペライチの公式オンラインセミナーで、うまいなと思った案内がありました。講師が開始直後に、Zoomでトラブルが起きたときの対処法を説明していたんです。

講師側が接続から落ちたら、戻るので落ち着いて待ってほしい。参加者側で調子が悪くなったら、落ち着いて入り直してほしい。そうしたことを、何も起きていないうちに伝えていました。

接続不良が起きたことそのものに、クレームが入るわけではないんです。「変なことになった、これどうすればいいんだろう」が起きるから、単純に不安になる。でも先に聞いていれば、「あ、落ちたな。でもさっきこう言っていたから、待っていればいいんだな」で安心できます。

トラブルを起こさない準備はもちろん必要です。そのうえで、起きた場合にどうすればよいかも先に共有する。僕はこの説明を見て、不安を防ぐうえでとても有効だと感じました。

今どこにいるか、次にどうするか、いつ答えが出るかを示す見通しの図解

自信を持って対処するのは、テクニックではなくマナー

想定外が起きたときこそ、自信を持って対処してください。テクニックの話ではなく、マナーだと思っています。とにかく自信を持って対処すれば、お客様は安心するんです。

「大丈夫です。お任せください。それ、なんとかできます」。そうスパンと言い切れるかどうかで、そこから先の動きはかなり変わってきます。

以前読んだ本に、人間の感情操作の仕組みにはバグが多すぎる、と書いてありました。変なきっかけで思わぬ動き方をするのが人間の感情で、理にかなっていないんです。自信を持って対処したところで、お客様が抱えている問題点そのものは、何も解消されていません。それでも自信を示すことで、「この人に頼れば大丈夫だ」という気持ちになる。

たとえ自分が崖のギリギリのところに立たされたとしても、無理をして自信を演出してください。自信を失ったら負けです。謝るべきところは、もちろん謝ります。謝るな、へりくだるな、という話ではありません。

お客様の疑問には、真っ先に答える

お客様が何かしら疑問を口にしたときは、その疑問に真っ先に答えてあげる。僕はセミナーの途中でも、いただいた質問はその場で解決するようにしています。質問したのにスルーされた、無視された、あさっての方向の答えが返ってきた。そういうときに、お客様は不安になるからです。

ただし、これは僕のスタンスです。最後に質疑応答の時間を設ける方法も、進行上は大切だと思っています。すべての質問へ即答することを、唯一の正解にはしていません。

もちろん、その場では答えられない質問もあります。この先で説明する内容なら、少し先延ばしにしたい。そんなときは、「それ、いい質問ですね。実はこの後に用意してあるんですよ。ちょっと待っててください。10分後ぐらいだと思います」と返します。

すぐに答えなくても、「後で答える」という約束はその場でできます。質問を受け取ったことと、答えが出る予定を伝えておけば、相手はその説明を待てるんです。

自分の商品について、どんな情報が出ているかも把握する

住宅営業をしていた頃、自社の商品を600万円引きで買えたと書いたブログ記事が広まったことがありました。お客様も、その記事を読んでいらっしゃいます。

その商品は、間取りも何もかもあらかじめ決まっていて、パッケージ化するから安い、という企画型の商品でした。どう考えても物理的に無理です。仕組みからして、そんな割引ができるわけがないんです。

大事なのは、「あれははっきり嘘です」とサバッと言い切れるかどうかです。そこで「えっ、そんなことが書いてあるんですか。知らなかった」となってしまうと、あっさり足元をすくわれます。少なくともお客様が手に入れられる程度の情報は、こちらが把握しておかないといけないんです。

僕自身、普段はパソコンのことなどさっぱり分かりません。でも、自分が買うときだけはめちゃくちゃ勉強します。「なるほど、こういうスペックがいいんだ、こういうのが必要なんだ」と。人は、購入するものが高額であればあるほど勉強します。だから、少なくともお客様よりは勉強しましょう。専門分野の知識で負けたら、お客様は不安になります。


頼まれる前に、何を助けられる人なのかを示す

説明を丁寧にしていても、最初の期待が食い違っていることがあります。そもそも勝手に期待されて、勝手に失望されているパターンがすごく多いんです。こちらは得意とも何とも言っていないのに、「この人ならこれができるに違いない」と期待して寄ってきて、「なんだ、できないんだ、残念」と勝手に去っていく。あるあるだと思います。

「Webマーケティングのことならお任せください」。僕の業界には、そんなザクッとした立ち回りをしている人が結構多いんです。自分の専門分野をしっかり明確に出しておかないと、変な期待を持った人が集まってしまう。それは、自分の評価を理不尽に奪っていきます。

だから、自分の専門分野を明確にする。自分が何をサポートしているかを明確にする。さらに、自分はどんな人の助けになるのかを明確にする。

依頼を受けた後の説明を整えるのと同時に、まずは今あるプロフィールや案内文から確認してみてください。「何が得意か」だけでなく、「どういう方のお役に立てるか」まで伝わっているでしょうか。

あとはシンプルに、できるかどうか迷ったまま安請けしないこと。ここまでやっておけば、勝手に期待されて勝手に失望される、ということはなくなるはずです。

不安は、トラブルの種です。お客様を不安にさせないように、上手に立ち回っていきましょう。ぜひ試してみてください。

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