住宅営業をしていた頃、僕は商談で何を話すか、順番を書いたメモを手元に置いていました。隠さず、お客様の前で堂々とです。

「今日お話しする内容を忘れたくないので、ここにメモを置きますね」

そう伝えると、お客様は「しっかり用意してくれているんだな」と受け取って、真剣に聞いてくださいました。メモを置いたからといって、お客様が嫌な思いをすることは全然ありません。

商談で話すことを全部覚えてから臨もうとしているなら、そこまでしなくて大丈夫です。何も見ずに話そうとすることに、成約率を上げる要素はほとんどありません。堂々とメモを見ながら話したほうが、結果として成約率はいいんです。僕が用意していたのも、一字一句を読み上げる台本ではなく、話す内容の流れでした。

メモに残すのは「この話の次に、何を話すか」

「この話をして、次にこの話をする」。手元で確認したいのは、その順番です。話す内容の流れがあれば、伝えたかったことを忘れるのを防げます。最初のうちは、この流れを手元に用意してから話す癖をつけてしまったほうがいいと思います。

僕は住宅営業を離れた後も、このやり方を使っています。毎朝配信しているビジネスラジオでは、その日に用意したマインドマップを見ながら話します。頭の中だけで進めようとせず、話す内容が見える状態にしているんです。

セミナーでも、画面に余裕があるときはマインドマップを表示しています。その日のセミナーをどんな流れで進めるか、確認するためです。何も見ずに話せる人は、そうそういません。よっぽど場数を踏んだ人だけです。僕自身はその場数を踏んだ部類に入ると思いますが、それでも見ながら話しています。

そのうえで大事になるのが、メモへ書く順番そのものです。商品を売る商談で、機能や技術の説明だけを順番に並べても、売れずに終わります。

商品の説明を聞いてもらう前に、関心を持ってもらう

商品に自信があるほど、今ある機能や技術を詳しく説明したくなります。頑張って作ったものですし、ほかに負けないと思っていれば、なおさらですよね。

ただ、お客様は正論よりも感情で動きます。逆に、その分野の専門家である売り手は、感情よりも正論で動いています。結局はこの差で、自分が正論で動いている領域だと、知らないうちにお客様への説明まで正論だけになってしまうんです。

そこで、商品そのものの説明へ入る前に、その商品が生まれた経緯や、これから目指す未来を伝えます。「そんな経緯があるなら間違いなさそうだな」「その未来が手に入るならワクワクするな」と感情が揺さぶられてから、今の商品や仕組みを説明する流れです。

過去の経緯と未来の話は、どちらか一方でも、両方でも構いません。商品を提示する前に、お客様がその話を聞きたくなる背景を伝える、という順番を意識しています。

僕自身、この考え方は会社員時代から意識していました。でも、人へ教えようとすると、まだうまく言葉にできないところがあったんです。

ゼロリスという自分の学びの場を立ち上げ、そのコンテンツを作り込む中で、自分のノウハウや考え方を言語化する必要が出てきました。そこで「そうか、伝えるときは過去や未来が先で、今の商品の説明は後なんだ」と、改めて整理できました。

商談で話す順番をメモにする図

経緯を話すだけで、商品の中身が不要になるわけではない

過去の話をするときも、履歴書のように出来事を淡々と並べるだけでは、こちらが思うほど伝わりません。なぜその商品へたどり着いたのか、何を実現したいのか。舞台俳優になったつもりで、大げさなくらい演出して伝えてください。

関心を持っていただいた後は、その期待を支える商品、技術、仕組みをきちんと説明します。過去や未来の話だけで売れても、商品の中身が伴っていなければ、次の購入にはつながりません。

商談の順番を考えるときは、今の商品をどう説明するかに加えて、その前にどんな経緯や未来を伝えるかも、メモへ書いてみてください。


お客様の前で、堂々とメモを使う

僕の住宅営業の経験では、先に「話し忘れを防ぐため」と伝えたことで、準備してきたことがお客様にも伝わりました。お客様は、何も見ずに話す演技を見に来ているわけではないんですよね。

次の商談では、話す順番のメモを用意して、冒頭で「話し忘れたくないので、メモを置かせてください」と伝えてみてください。そのうえで、堂々と見ていきましょう。カンニングしまくってやりましょう。

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