仕事の相談が届くと、依頼内容や金額に目が向きます。でも、実際に一緒に仕事をする相手がどんな人かによって、その後のやり取りは大きく変わります。
僕が受注前に見ているのは、相手の普段のふるまいと、お互いの利益を考えられる人かどうかです。そのために、いきなり一対一の仕事を始める前に、発信やセミナーを通じて相手を知れる関係を作っています。
今ある発信やセミナーも、知ってもらうためだけでなく、こちらが相手を知る入口に使えます。どんな相手から仕事を受けるかを考えるようになった、僕自身の経験からお話しします。
友人の前ではサービスしたくなり、後から後悔した
僕は「友人や知り合いからの案件は受けません」と明言しています。これを先に言っておくことが、とても大切なんです。友人を目の前にすると、自然に「サービスしないといけない」という気持ちになってしまうからです。
その場ではそう思っていても、事務所へ持ち帰って冷静になると、「ああ、やってしまった」と思うわけです。これがつらい。だから最初から受けないと決めています。
友人からの紹介も、同じように特別対応を無邪気に求めてこられます。だから紹介も危険だと思っていて、受けないようにしています。
断るときは、「本当にごめん。友人関係からの仕事はトラブルの原因になるから、受けないようにしているんだ」と言ってしまえばいいです。これを理解してくれない人は、そもそも友人じゃない。僕は本当にそう思っています。
まったく知らない人からの個別依頼も、そのまま受けない
一方で、まったく知らない人からの案件も、僕は基本的に受けません。友人との近すぎる関係とは別に、相手のことを知らないまま直接仕事を始める難しさがあるからです。
検索で見つけてくださった方からの依頼は、こちらが相手を何も知らないところから始まります。僕がSNS経由の受注を好むのは、普段の言動を見て、相手のことをある程度知ったうえで話せるからです。まったく知らない人からの受注は裏側が見えないので、結果的にそれが爆弾だった、ということが起こります。
SNS以外でも、相手を知るための入口は作れます。最初から一対一のコンサルティングを商品にすると、契約したところから相手の要望に直接対応する関係が始まります。相手が変な人だったら、その人のペースに引きずり込まれてしまいます。
そこで、まずはこちらから内容を渡す商品を、入口に置く方法があります。僕の毎朝のビジネスラジオ「朝ビジ」やセミナーは、その例です。基本的には、僕が話す内容を聞いていただく形なので、最初から相手個人の要望へ対応するサービスとは違います。
内容をどう受け取り、どんな反応をするのか。そうした様子を見る時間を先に作って、個別サポートや直接の受注はその後ろに置く。相手の都合のいいように振り回される商品へ、いきなり入ってこられないようにするための順番です。

あなたにだけいい人、という人はいません
では、相手の何を見ているのか。僕が見るのは、自分への接し方だけではありません。その人が周りにどう接しているかを見ます。いやらしい人が、あなたにだけいやらしいということは、まずないんです。その人の生活の端々に、そのいやらしさが出ているはずです。
たとえば、飲食店の店員さんに高圧的になる人、お礼を言わない人、謝ったら負けだと思っている人。人のことを「使える人」と言うような人も、僕は気をつけて見ています。
運転中に性格が豹変する人がいますよね。あれは豹変しているんじゃなくて、裏の性格が表に出ているだけなんです。「酒の過ち」という言葉も、僕は正しくないと思っています。お酒がやった何かではなく、本性が出ただけ。だから運転が荒い人や、お酒の場で横柄になる人も、はっきりと要注意です。
飲食店のような場所で出た言葉や立ち振る舞いは、ビジネスの場でも出てくる。僕はそう解釈しているので、そういう人には近寄らないようにしています。だからこそ、いろんな方と薄く浅くはつながっておいて、普段どんな言動をしている人なのかを見ています。
見返りや罪悪感を使って、判断を迫る言葉にも注意する
僕がもう一つ気をつけているのは、恩着せがましい言い方です。
「これをやってあげたのだから、次はこれをしてほしい」
日頃の協力をありがたいと思い、「何かお返しをしたい」と自分から感じるなら、気持ちのよい関係になります。ところが、こちらがそう感じる前に見返りを言葉で迫られると、「あの協力には裏があったのか」と感じてしまいます。
「どうせ私のような人は、断られると思いますが」と、枕詞を置いてくる人もいます。これは言い方を変えると、「あなたもそういう薄情な人なんですか」と、罪悪感を植えつけようとしているんです。こういう系の人には、基本的に近寄らないほうがいいです。
かわいそうだな、と思ってしまうじゃないですか。でも、そう思わせるところまでが相手の思うツボなんです。
双方に利益があるか。その利益は、お金だけとは限らない
ビジネスは基本的にwin-winでないといけない。これが大前提です。こちらが負けた側になっているなら、そのビジネスは間違っています。もちろん、相手を負けさせてもいけません。相手が利益を得ていないのに、こちらだけが利益を得る。それは要するに詐欺師です。でも、こちらが負けていたらそれはそれで、持続可能なビジネスではありません。
ただし、利益の意味は案件によって変わります。たとえば、憧れていた方から依頼され、「この人の仕事に関われるなら、無料でもうれしい」と自分で思えるなら、それも自分にとっての利益です。
お金が稼げなかったら負けている、というわけではないので、勘違いのないようにしてください。大切なのは、お互いのwin-winを最後の最後まで貫き通せるかどうかです。 自分の利益を確保しながら、こちらの利益にまで頭を回してくれる人。今日の話でいう「ずる賢い人」は褒め言葉です。けれど、自分の利益しか考えられない「ただずるい人」とは、僕は距離を置きます。
会社の看板を失って、自分の信用の小ささを知った
変な案件をそもそも近寄らせないためには、ブランディングが大切です。要は、都合のいい人にならないこと。あなたに都合のいいことをお願いするのは失礼だ、と思われるブランドを持ってください。僕が起業して真っ先に挫折したのが、このブランディング面でした。正直、起業しなきゃよかったと思ったのも、このブランドのなさが理由です。
以前は、全国的に名前を知られた大手ハウスメーカーで働いていました。その名前があるだけで信頼していただけて、怪しい話も近づきにくかった。会社の名前で仕事ができることを、当時は十分に分かっていなかったんです。
独立して、その看板を全部失いました。「自分はまだ本当に未熟だったんだ」と痛感しましたし、ブランドがないとこんなにも何もできなくなるのかと思い知りました。ブランドがあるかないかで周りの対応がどう変わるのかを、嫌というほど味わったんです。むなしくなりますよ、本当に。
だから、普段の立ち振る舞いや、どんな仕事をしてきたかが伝わることを大切にしています。僕なら、おかげさまでペライチさんといろんな取引をさせてもらっていること、公式セミナーでナンバーワンになったこと。そういうところが、そのままブランディングにつながっているわけです。
もちろん、いきなり完璧なブランディングができるわけがありません。起業初期はそこが弱いので、変な案件が迷い込んできがちです。だからこそ、相手を知れる入口を作って回避しながら、自分のブランド力を上げていってください。これは、ビジネスをやっていく以上ずっと意識し続けることだと思います。
次の依頼では、相手を知る材料があるかを確かめる
個別相談へ案内する前に、相手の普段の反応やふるまいを、どこで知れているか確認してみてください。今あるSNSのつながりや、セミナー、内容を渡す商品が、その入口になるかもしれません。
もちろん、人となりが最初から見えている相手ばかりではありません。突然DMで依頼が来ることもあります。その場合は、契約形態をしっかり見てください。こちらに不利なことしか書かれていないんじゃないか。そういうものは見え隠れしてくるので、そこで判断するしかありません。
変な案件を受けないように頑張りましょう。そして、そういう人たちが近寄ってこられないように、ブランディングを上げていきましょう。今日の話は本当に大切な話だと思うので、ぜひ心がけてみてください。
