「相手から質問してもらうには、どんな質問をすればいいんでしょうか」。高額商品の売り方を伝えたセミナーで、こんな質問をいただきました。お客様に興味を持たれないと、こちらの話はまともに聞いてもらえません。だから、言いたいことを言う前に、まず興味を引く。これが住宅営業の極意のひとつでした。

では、どうやって興味を引くのか。僕が住宅営業で使っていたのは、クイズです。「あれ、私が思っていたことって実は違ってたのかも」。お客様の中にこの疑問が生まれれば、こちらの説明は、その答えとして聞いてもらえます。

「強い家が欲しい」の思い込みを、クイズでひっくり返す

僕が勤めていたのは木造住宅のメーカーです。ところが、だいたいのお客様は鉄骨の方が地震に強いと思っています。単純な強度にお客様の関心が向いている状態では、そこで勝負していないうちが何を言っても響きません。

「強い家がいい」とおっしゃるお客様には、こんなふうに聞いていました。

「車がぶつかってきても壊れない家ですか。それとも、地震が来た時に壊れない家ですか」

お客様はたいてい「地震に決まっている。車なんて、めったに突っ込んでこない」と答えます。お客様の言う「強い」は、地震のことだとここではっきりします。

耐震性の説明に入る時のクイズは、こうです。「重い家と軽い家では、地震のダメージが大きいのはどちらだと思いますか」。だいたいのお客様は「重い家」と答えます。慣性の法則があるので、重いほど大きく揺られてダメージを食らうからです。そこで僕が「じゃあ鉄骨の方がダメージを食らうってことですよね」と言うと、お客様も「ですよね」とうなずきます。

鉄骨の方が地震に強いと思っていたお客様が、自分の答えで逆の結論にたどり着く。そこで「実は、地震に強い家は軽い家である必要があるってご存知ですか」と話すと、単純な強度=地震の強さではない、という発想がお客様の中に芽生えます。「あ、そうだったんだ」。こうなったらこっちの勝ちです。あとは、自分の強みを前面に押し出した地震対策の話に、そのまま入っていけます。

重い家と軽い家の二択を示すイラストを見て考えるリス、キツネ、ロボット

手紙でも、答えを知りたくなるところから始めた

住宅営業時代に送っていた手紙でも、僕はいろいろ試しました。いちばん効いたと思ったのが、家を建てた後の失敗談と、その解決策をセットにする内容です。

たとえば、車の長さに合わせて駐車場を作ったら、跳ね上げ式のトランクが開かなくなった話。バックで停められず、いつも頭から突っ込むことになります。家は一生に一度の買い物ですから、お客様は絶対に失敗したくありません。だから失敗例だけで終わらせず、どうすれば避けられるかとセットで送っていました。

さらに、手紙を透明な封筒に入れ、外から見える面へ失敗談、裏面へ解決策を載せていました。表を見て「どうすれば防げるの?」と思ったら、封筒を開けて裏を読む形です。中身を開いてもらうために、答えの前に気になる問題を見せていたんです。

「欲しいです」と言われてからカタログを届ける

別の手紙では、「こんなカタログがありますが、興味はありますか」とお聞きしていました。「事務所に6冊あります」と案内し、欲しいと返事をくださった方のところへ、僕が届けに行っていたのです。

サラッと「届けに行く」と言いましたが、これ、訪問しているんです。ただし、先にお客様から「欲しい」と言っていただいた上での訪問です。僕の信頼のつかみどころは親しみやすさだと思っているので、お客様が僕と接点を持ちやすいきっかけは、すごくたくさん作っていました。

ほかにも、グッズを取りに来てもらう、バルーンアートでお子さんに喜んでもらう、工場見学や土地探しのツアーを組む。とにかくお客様との接点を増やしていました。クイズも手紙もカタログも、お客様が「知りたい」「欲しい」と思ったところから話が始まる。そこは同じです。


気づかれていない大切なことを、クイズにする

自分の専門性は、意外とお客様の興味関心から外れていることがあります。とっても大切なのに、みんなここに全然気づいていない。そういう話、ありませんか。そこに気づいてもらうためのクイズを、たくさん作ってみてください。僕の耐震性の話のように、説明したい点につながる二択にすると、問いを作りやすくなります。

あとは、それを小出しに出していくだけです。数を出していけば、どこかでお客様が引っかかります。

「相手から質問してもらうには?」への僕の答えは、説明を始める前にクイズを置くことです。お客様が自分で口にした質問なら、その答えは聞かざるを得ません。そこから商談は、こちらのところへスムーズに流れてきます。

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