僕がセミナーをしていると、「もっと端的に伝えてほしい」と、内容よりも構成に小言が届くことがあります。
お客様の声だからと、全部をまともに受け止めてしまう。真面目な人ほど、そうなりやすいんですよね。でも、感想をもらうたびに自分の力不足だと思う必要はありません。
僕は、相手の言葉に敬意があるか、こちらが提供しているテーマからずれていないか、前提条件が同じかを見ています。もちろん、こちらの説明や内容に落ち度があるなら、真摯に受け止めます。
「もっと端的に」には、構成の目的を確かめる
セミナーには、内容を教えるだけでなく、僕のことを知っていただく目的もあります。自己紹介が入っているのも、そのためです。無料プレゼントも、自分の認知を広げる目的で作っているなら、自己紹介が多めに入るのは当然なんです。
そこへ「ポイントだけ並べてくれればいい」と言われて、そのとおりに全部を削ってしまう。すると、こちらがそのセミナーやプレゼントを用意した目的までなくなってしまいます。だから僕は、端的に知りたい気持ちは分かるけれど、短くすることだけを求める声は受け流しています。
セールスレターにも、「こんな長いものは読めない」という声が届きます。僕は、そう言う人には、売っているものに興味がない人が多いと感じています。一方、興味があって、不安だから詳しく知りたい人にとっては、情報の少ないページのほうが困るんです。
ただし、「分かりにくかった」という声には、受け止めるべきところがあるかもしれません。説明が届いていないのか、こちらの目的を持った構成を短くしてほしいだけなのか。そこは同じにしないで考えています。
Canvaの講座で「ペライチを知りたかった」と言われたら
テーマのずれは、実際に僕も経験しています。Canvaのセミナーをしていたのに、「ペライチについて知りたかった」という声が届くことがあるんです。
お客様の中では、話がつながっています。ペライチで作るランディングページの画像を用意するために、Canvaを学びに来た。だから、ページの作り方も一緒に知りたい。別に意地悪で言ったわけではないかもしれません。
ページの作り方も知りたい気持ちは分かるけれど、今日のテーマはCanvaです。僕は、そういう声なら「次はペライチのセミナーをしてほしい、という要望をもらった」と受け取ればいいと思っています。今回の講座が失敗だったと、いちいち凹む必要はないんです。
リストマーケティングのセミナーで、広告の質問が来ることもあります。自分が提供している内容や専門分野から外れているなら、「今日はこの内容なので、その話にはお答えできません」と、堂々と条件を伝えていい。
相手の話も正しいけれど、こちらとは前提条件が違う、という場合もあります。「そういうやり方もありますよね。でも、僕はこういう条件で話しています」と伝える。相手を否定せずに、こちらの話を続けられます。
「知っていることばかり」は、募集文と続きの言葉を見る
感想の中でも、「知っている内容ばかりでした」は、少し分けて考えています。初心者向けのセミナーに中級者以上の人が来れば、知っている内容が多いのは当然です。
ここで僕が確かめたいのは、参加者の募集に使ったランディングページや案内文に、「初心者向け」と明確に書いていたかどうか。書いていなかったなら、こちらの落ち度です。内容を全部難しくする前に、募集時の伝え方を直す必要があります。
逆に、初心者向けと明示していたのに、もっと上のレベルの話を求められたなら、来ている場所が違います。初心者向けの水泳教室へ「クロールのタイムをあと0.1秒縮めたい」と来られても、困るじゃないですか。それだけで、自分の教える内容に自信をなくす必要はありません。
同じ「知っている内容ばかり」でも、僕のセミナーでよくいただく声には、こんな続きがあります。
知っていることばかりでしたけど、全然活用できていないことに気づきました。
これは、すごくいい声なんです。真新しい知識が増えなくても、自分が使えていなかったことに気づいた。「そういう考え方はしたことがなかった」という声も、僕は喜んで受け止めています。「知っていた」の一言だけでは、その人が何を持ち帰ったのかは決まりません。
こちらが約束した話をしていたか、そこは振り返る
テーマや対象がずれている声を受け流せるのは、こちらが伝えるべきことを伝えているのが前提です。
リストマーケティングのセミナーをすると案内しておいて、ランディングページの話しかしていなかったら、クレームが来るのは当然です。前と言っていることがコロコロ変わっていれば、お客様も混乱します。
僕は、セミナーの冒頭で「今日はこの話をします」と断言します。そのうえで、最後も「この話でした」と締めているか、始まりと終わりの軸がそろっているかを気にしています。セミナー以外の発信でも、そこは同じです。

相手が残念な思いをしていたら、言葉が丁寧でないこともあります。敬意は大切な判断基準ですが、それだけですべてを決めるわけではありません。こちらを下に見て、ただ困らせたいだけの声なら、必要以上に取り合わなくていいと僕は思っています。
「知っていることばかり」と言われたら、まず、手元の募集文を見て、初心者向けと明確に書いていたかを確かめてみてください。書いていなかったなら、次回の募集文を直しましょう。案内したテーマを最後まで話していたか、伝えるべきことが抜けていなかったかも、振り返る必要があります。
冒頭の「もっと端的に」という声も、説明が分かりにくかったのか、自己紹介を含む構成そのものを省いてほしいのかで、受け止め方は変わります。お客様の声で振り返るべきところは振り返る。そのうえで、目的を持って用意したセミナーまで、短さを求める一言だけで崩さなくていいんです。

