毎朝の発信を始めたばかりの頃、僕は7日でネタ切れを起こしました。

それでも情報を探し、考え、話し続けた結果、698日目まで毎朝の発信を続けられました。人から「事例の引き出しが多い」「なぜそんなことを知っているのか」と言われるようになったのは、最初からアイデアが次々と浮かぶ人だったからではありません。

普段から材料を拾い集めるようになったことが、発信を続ける力になりました。

アイデアが出ないとき、つい同業者の発信を探したくなります。けれども、そこから取ってきたものだけでは、似た企画や言い換えに寄りやすい。自分の事業に合う新しい切り口を作りたいなら、業界の常識の外へ、見る場所を少し広げる必要があります。

お客様の「無邪気な質問」を流さない

最初に拾いたいのは、お客様から届く質問や要望です。特に大切なのは、こちらが思わず「普通はそんなことを考えない」と感じるような、無邪気な質問です。

以前、受講生から「メルマガを書いたらFacebookに表示されますか」と聞かれたことがあります。もちろん表示されません。けれど、聞いた本人にとっては真面目な質問でした。

仕事に慣れるほど、僕たちは業界の常識で考えるようになります。できることと難しいことを知っているため、無意識に選択肢を狭めます。一方、初めてサービスに触れるお客様は、その常識を知りません。だからこそ、こちらの想定から外れたことを尋ねてくれます。

業界の常識では突拍子もなく見える質問も、いったん真剣に考えてみます。「それはできないんですよ」と答えかけて、いや待てよ、と思い直したことが何度もありました。

最近も、僕が運営するコミュニティの受講生から「過去の勉強会を一覧で見られる場所を作ってほしい」と言われました。正直、以前なら相当な手間がかかるので、やらずに置いていた話です。ところが今はAIの力で簡単にできる。昔は労力がかかってやらなかったことが、条件が変わって実現できるようになっていました。

常識を知らない人の問いだからこそ、自分たちだけでは見つけにくい企画の入口になります。

無邪気な質問を、まず考える材料として残します。要望として採用するかは、その後に決めます。

同業者ではなく、異業種の成功例を見る

もう一つの材料は、異業種にあります。

同じ業界の成功例をそのまま持ってくれば、どうしても似た見せ方になります。しかし、扱う商品もお客様も違う業界なら、発想の骨格だけを自分の事業へ置き換えて考えられます。

僕が意識していたのも、同じ業界の事例を集めることではありませんでした。小売、飲食、不動産など、自分の仕事とは直接関係のないところで「なぜこの企画は面白いのか」「どこがお客様に受け入れられたのか」を見る。表面をまねるのではなく、背景の考え方を拾うためです。

異業種の事例は、自分のお客様なら何を喜ぶのか、自分の商品なら何に置き換えられるのかを考えて、初めて自分の企画になります。

自分で選ばなかった情報に、意外な材料がある

あるとき、知り合いが「築50年以上のマンションを再生した方法」についての記事を共有していました。僕の仕事に直接関係する内容ではありません。それでも「こんなやり方があるのか。どこかで役に立ちそうだ」と思い、記事を読みました。

この記事は、今のところ何かの企画になったわけではありません。それでも、そういうやり方があるという事実は引き出しに残っています。

こうした偶然の情報は、自分で検索しているだけでは出会いにくいものです。

僕自身、インターネットで調べものをしていると、過去の関心に近い情報が集まり、見る範囲が狭くなっていく感覚がありました。そこで、出先でテレビが流れていれば気にして見るようにしたり、ビジネス番組を配信するサービスを移動中に流したりしていました。

自分なら選ばなかった業界や店の話が、半ば偶然に入ってくる。その中から、小売の見せ方や飲食店のサービスなど、思いがけない企画の材料が見つかることがあったからです。

検索には、必要な情報を深く調べられる良さがあります。それに加えて、自分の関心から外れた情報が入る余白を残しておくと、引き出しの中身が偏りにくくなります。

お客様の質問、異業種の事例、偶然入る情報を自分の引き出しに集め、企画や発信につなげる図解
同業の外で見つけた材料を自分の引き出しへ蓄えると、企画や発信に使えるようになります。

一度拾った事例は、次の企画でも使える

一度扱った事例は、自分の中からすっと取り出せるようになりました。人と話すときにも、話題に合う事例をすぐ出せる。その積み重ねが、「引き出しが多い」と言われる状態につながったのだと思います。

集めた具体例から共通点を見つけ、自分の考えとしてまとめる方法は、質の高いオリジナルコンテンツ作成に役立つアイデア発想法「帰納法」でも紹介しています。


アイデアがない日は、探す場所を変える

次に企画が出なくなったら、同業者の発信を開く前に、最近お客様から受けた質問を思い出してみてください。自分なら普段選ばない業界の記事や番組にも触れてみる。すぐ企画にならなくても、「どこかで使えそうだ」と感じた情報を流さずに拾っておきます。

7日でネタが尽きた僕は、お客様の言葉、異業種の事例、偶然目に入った情報を少しずつ自分の引き出しへ入れてきました。その蓄積が、698日目まで発信を続ける土台になりました。

白紙の前で考え続けても何も出ない日は、机の上に材料が足りないのかもしれません。そんな日は、考え込むより、材料を拾う場所を変えてみてください。今日拾った材料が、次の企画の出発点になります。

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