住宅営業をしていた頃、お客様の家が建ったことをきっかけに、来場イベントを任されたことがあります。僕がそこで呼んだのは、プロの似顔絵師さんでした。

住宅のイベントなら、住宅ローン相談やライフプランのシミュレーションを思い浮かべるかもしれません。でも僕は、その仕事の話をする手前で、お客様と仲良くなれる機会を作りたかったんです。

集客イベントを考えるときは、相談に来てもらう前に、お客様が「それなら行きたい」と思える用事を作る。講師やコンサルタントなど、自分の専門性を売る方にも、この考え方は参考になると思います。僕がそう考えるようになった理由から、お話しします。

ラーメン店で楽しかった会話と、住宅営業の会話は違った

学生時代、僕はラーメン屋さんでアルバイトをしていました。お客様としゃべりながらラーメンを出すのが、本当に楽しかったんです。「人と話す仕事って素敵だな」と思って、それなら営業職だ、と住宅営業の仕事に就きました。

これが、結論からいうと大失敗でした。ラーメン屋さんに来るのは、いつもの常連さん。お客様同士も仲がよく、店員とも顔見知りです。対して住宅営業で話すのは、これから関係を作る新しいお客様ばかり。同じ「人と話す仕事」でも、全然違う世界だったんです。そこで僕が考えたのは、こんなことでした。

常連客に営業する方法、ないかな。

おかしな話に聞こえるかもしれませんが、商談を始める前に、ある程度仲がよくなっている状態を作れないか、ということです。

子どもにバルーンアートを作るところから始めた

お客様と先に仲良くなるために、住宅営業で僕がやっていたのがバルーンアートです。お客様の家へ行ったとき、お子さんに作って渡す。会社員としてできることには限りがありましたが、バルーンアートは、おかげさまで大人気でした。

いきなり住宅の話を始める前に、楽しんでもらえることでつながる。僕は、そういうエンターテインメントを交えた関わり方を試していました。そのやり方に、さらに確信を持てたのが、冒頭の似顔絵イベントです。

似顔絵イベントは、1か月先まで予約が入った

来場イベントを企画する役割を任されたとき、僕はプロの似顔絵師さんを呼び、「家族の似顔絵を描きますよ」というイベントを開きました。これが、バカほど大ヒットしたんです。

当日はお客様が来すぎて、もう受け入れられない状態になりました。それでも、似顔絵を描いてほしいという方がたくさんいらっしゃった。似顔絵は、1日で何百枚も描けるものではありません。

そこで似顔絵師さんに相談すると、1日あたりの件数を決めて、後日も対応していただけることになりました。今日は受け付けられない方に別の日を案内していったら、1か月先くらいまで予約が埋まったんです。

僕が感じたのは、子育て世代の方には、今のお子さんと一緒に家族の似顔絵を残したいという需要があったことです。子どもの顔は、どんどん変わっていきますよね。そして、住宅を買われるのも子育て世代の方が多い。その二つが、すごく合ったんだと思います。

このイベントは、僕だけでなく、ほかの営業マンにとっても、お客様とのつながりが順調に進むきっかけになりました。住宅会社のイベントには来ている。でも、最初から住宅の相談をするための場ではない。仕事の話をする前に、営業マンとお客様が仲良くなれるイベントの強さを、このとき感じました。

子どもへのバルーンアート、家族の似顔絵、バーベキュー。商談の前に仲良くなれる用事の例

独立後は、バーベキューがその用事になった

住宅営業で作っていた「仕事の話をする手前の機会」は、独立後の僕にとって、バーベキューになりました。リストマーケティングの専門家に、いきなり相談するのはハードルが高い。「セールスのプロに話しかけたら、売り込まれるんじゃないか」と感じるのも、僕は分かるんです。

そこで、とりあえず肉を食べに来てもらう。仕事そのものでも、完全なプライベートでもない場所で、先に仲良くなる。僕の場合は、バーベキューを通じて知り合い、仲のよい方が相談に来てくださる、という状態を作ってきました。

集まる場は、別の形でも作れます。コロナ禍でバーベキューを開きにくくなったとき、僕は朝5時から集まって一緒に作業する「モーニングショット」という朝活を始めました。楽しく参加できて、仕事の相談をする前に人とつながれる。その機会を、別の形でも作ってきたんです。


あなたのお客様が、来たいと思う用事を考える

次に集客イベントを考えるときは、今の仕事で出会いたいお客様に向けて、いきなり専門相談へ来てもらう形だけでなく、その手前で一緒に楽しめることを考えてみてください。僕なら子どもへのバルーンアートや、家族の似顔絵、バーベキューでした。あなたが出会いたいお客様には、どんな用事なら来てもらえそうでしょうか。

その場へ来た途端に売り込みが始まるのでは、気軽に来られた意味がなくなります。僕も、バーベキューの場でいきなりセールスのキャンペーンを始めたりはしません。楽しんで話す機会を先に作り、真剣な相談は、その先につなげていきます。

ラーメン屋さんで常連さんと話すのが楽しかった僕は、住宅営業でも、仕事の話の前に仲良くなれる方法を探しました。似顔絵を残したい、肉を食べながら話したい。お客様自身が来たいと思える用事があると、商談の手前から関係を作れます。僕が集客イベントを考えるときの出発点は、そこにあります。

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