「コンサルティングを頼んだら、具体的に何をしてもらえるのですか?」
この質問が出るのは自然なことです。制作代行のように完成物が見える仕事と違い、相談する前には役割が分かりにくいからです。
僕の場合、コンサルティングの中心は、相談者の判断の道しるべになることです。何を優先するか、どちらへ進むか、どこまで直すか。その迷いを整理し、次の作業へ進める状態をつくります。
手元の仕事で、いま何を決められずに止まっているかを言葉にできれば、相談はそこから始められます。
作業を遅らせるのは、手の速さより「判断の遅さ」
事業を立ち上げたり、商品や販売の仕組みを作ったりすると、必ず作業が発生します。そこで進まなくなる理由は、タイピングや操作が遅いからとは限りません。
「次に何をすればいいのか分からない」
「二つの案のうち、どちらを選べばいいのか決められない」
「この問い合わせは受けるべきか、断るべきか判断できない」
こうして迷っている時間に、手が止まります。僕が相談を受けるときは、「まずはこちらです」「今回はそちらを優先しましょう」と、今の状況に合う判断を一緒に決めます。そして、相談者自身が次の作業へ移れる状態をつくります。
持っている知識を全部渡すわけではない
僕の専門は、メルマガや手紙を使ったリストマーケティングです。相談では、その知識の中から、相手の現状に必要なものを選んで渡します。
同じリストマーケティングでも、事業の段階やお客様、今抱えている問題によって、必要な知識は変わります。関係のない知識まで一度に渡せば、選択肢が増えて、かえって判断しにくくなります。
僕は、その人が今必要としている内容を渡し、まだ必要のない内容は渡しません。相談者が自分の専門分野へ集中できるように、販売やリストマーケティングの判断はこちらで支える。この役割分担ができると、本人は本来伸ばすべき仕事に時間を使えます。

分からないことがあっても、次に確かめる道を示す
答えられない内容が出たとき、コンサルタントに必要なのは、次に確かめる道を示すことです。僕にも答えられないことはあります。
誰に聞けばよいか、どこを調べればよいかを示すことも仕事です。僕より詳しい専門家がいるなら、その人へ聞いたほうが早いと伝えます。口添えができる相手なら、相談しやすいようにつなぐこともあります。
この考え方は、会社員時代の上司から学びました。その上司は「判断に迷ったら、まず自分へ聞け」と言う人でした。本人が答えられない内容でも、聞くべき相手を教え、必要なら話を通してくれました。限られた知識だけで無理に答えるより、専門家へ届く道を示してもらったほうが、仕事は早く進みます。
僕自身が相談を受ける側になってからも、頼れる専門家へつなぐ方針を取り入れています。答えそのものを持っていないときでも、次に聞く先まで示すようにしています。
実際のやり取りの中で、次の返答まで考える
相談内容には、大きな事業計画に加えて、日々の細かな判断も含まれます。
たとえば、相談者のもとへ問い合わせが届き、「この依頼は受けたほうがよいでしょうか」と聞かれることがあります。その内容を見て、受けるか断るかを一緒に判断します。チャットでお客様とやり取りしている場合は、相手へどう返すかまで相談に乗ることもあります。
ここでは、相談者が何を目指しているのか、その依頼を受けると他の仕事へどう影響するのかを踏まえたうえで返答を決めます。目の前の一件だけでなく、その人の戦略に沿う判断へつなげます。
「完璧に直す」より、今必要な修正を選ぶこともある
ランディングページの確認を頼まれたとします。細かく見れば、直せるところはいくつも見つかるでしょう。
急いで世に出す必要があるページへ細かな修正を次々と求めれば、肝心の案内が遅れてしまいます。相談者が一日に使える時間にも限りがあります。
そこで僕は、納期や販売の予定、使える時間まで聞いたうえで、「今回は、せめてここだけは直しましょう」と必要な範囲を決めます。事情を知らずに理想だけを並べると、やらなくてもよい作業を増やしたり、実行できない量を押しつけたりしかねません。
今の目的を達成するために、品質を保つ最小限の修正範囲を決める。これもコンサルティングの役割です。
スポット相談と長期契約では、支える時間軸が違う
僕のコンサルティングには、時間を区切ったスポット相談と、数か月にわたる長期契約があります。
スポット相談では、その時間に持ち込まれた質問や悩みを集中的に考えます。いま困っている一点を整理し、その場で次の判断を持ち帰ってもらう形です。
長期契約では、通話中の回答だけでは終わりません。数か月後の目標から逆算して、いつ何をするかを組み立てます。打ち合わせのない時間にも、計画を円滑に進める方法を考えます。先生として答えを渡すというより、同じ目標へ向かうパートナーに近い関わり方です。
いまの一問を解決したいときはスポット相談、途中の判断を重ねながら計画を進めたいときは長期契約と、必要な関わり方が変わります。
相談するときは「止まっている判断」を伝える
コンサルティングへの相談は、いま何を決められずに止まっているのかを伝えることから始められます。
- 次にやることを決められない
- 二つの案から選べない
- 問い合わせを受けるか迷っている
- ページをどこまで直して出すか決められない
- 数か月先の目標へ向けた順番が見えない
そのうえで、目指している状態、期限、使える時間を共有します。状況が分かれば、必要な知識だけを選び、答えられない部分は聞く先を示し、次の行動まで一緒に決められます。
「コンサルタントは何をしてくれるのか」と聞かれたとき、僕の答えは、迷って手が止まっている場所を見つけ、いま進む道を決めることです。相談を終えたあとに、相談者自身が次の一手を選び、動き始められる。その状態まで判断を進めるのが、僕の考えるコンサルティングです。

