メルマガやSNSで商品を案内するときは、誰に何を届けるのかを先に決めます。一方、目の前のお客様と話せるときは、相手の話を聞いてから、何を提案するかを決められます。

二つの売り方を混同すると、発信では誰に何を届けるのかがぼやけ、対話では最初の商品に縛られて別の需要を逃しやすくなります。

僕は住宅営業で一対一の提案を経験し、その後はメルマガやSNSを使った発信から商品を届けてきました。二つの売り方を経験して分かった、相手と商品の決め方を具体的な場面とともに整理します。

違いを生むのは、その場で相手の話を聞けるかどうか

発信セールスは、メルマガ、メール、SNS、手紙などを使い、一人から多くの人へ届ける売り方です。発信した後に読者一人ひとりから詳しい事情を聞き、その場で内容を書き換えることはできません。

そのため、発信する前に「誰へ、何を届けるのか」を決めておく必要があります。

対話型のセールスは違います。一対一で会話ができるため、相手が困っていること、現在の制限、すでに持っている強みや手段をその場で聞けます。最初に想定していた商品が合わなければ、話の内容に応じて別の商品や紹介先を選ぶこともできます。

二つを分ける判断基準は、提案を決める前に相手の話を聞けるかどうかです。オンラインの個別相談は対話にあたり、対面の場でも大勢へ一方向に案内するなら発信に近い考え方が必要です。

発信では、届ける相手を一人、案内する商品を一つに絞る

メールやSNSで発信するときは、届ける相手を一人に絞ります。僕も、発信について相談されたときは「一人に絞ってください」と伝えています。「この内容を、今日は誰に届けるのか」が曖昧だと、発信の焦点を定められません。

発信で届ける相手を具体化したい方は、顧客ニーズを調べる方法も参考にしてください。

商品も同様です。一つの発信では、入口となる相手と、出口となる商品を一つずつ決めます。別の相手に別の商品を案内したいなら、発信の組み合わせをもう一つ作ればよいのです。ただし、一通の中で相手や商品を次々に動かすのではなく、その発信で届ける組み合わせは固定します。

僕が運営するゼロリスに、1週間で5件ほどの入会があったことがあります。ちょうどペライチの公式セミナーをした後で、その流れもあって入会が集中していた時期でした。その約5件について、僕は個別にセールスをしていません。セミナーや発信を通じて申込みにつながっていたのです。

対話では、相手の話から提案の出口を決める

一対一で話せる場面では、対象となる相手を発信よりも広く設定できます。自分の仕事に関連する悩みを持つ人と話し、その人の状況を聞きながら、何を提案するかを決められます。

出口は、自分の商品一つとは限りません。自分が持つ別の商品が合う場合もあれば、専門外の相談なら、他の人の商品を紹介する方が合う場合もあります。先に売る物を一つに固定するのではなく、会話の中で相手に合う選択肢を探せるのが、対話型セールスの特徴です。

発信セールスは相手と商品を先に決め、対話型セールスは話を聞いて合う出口を選ぶ違いを示す図解

自由設計の家も、「自由なまま」では提案しない

住宅営業をしていた頃、僕が扱っていたのは自由設計の家でした。しかし、お客様に「自由に設計できます」と伝えるだけでは、どのような家を選べばよいのか分かりません。

そこで実際の商談では、ご家族の話を聞き、その人たちに合う間取りを決めたうえで提案していました。商品としては自由設計でも、提案まで自由なままにしておくわけではありません。話を聞いた後に、「あなたには、この間取りが合います」と具体的な一案にして届けます。

これは、対話があるからできる提案です。相手の事情を聞く前から、そのご家族に合う間取りを決めることはできません。会話を通して選択肢を絞ることで、自由度の高い商品でも、目の前の人が判断しやすい具体的な提案にできます。

講師依頼の会話から、チラシの困りごとが見つかった

セミナー講師の依頼を受け、条件について話していたときのことです。会話の途中で、相手から「セミナーのチラシをどう作ればよいか分からない」という困りごとが出てきました。

僕はチラシ制作を専門にしていません。ただ、身近にチラシ作りのコンテンツを販売している人がいたため、その人を紹介しました。相手は「見てみます」と答えました。もともと何かを売るために始めた会話ではなく、その後に契約したかどうかまでは確認していません。もし成約すれば、僕が紹介料を受け取れる関係でした。

最初の講師依頼だけを見て会話を終えていたら、チラシの困りごとは分かりませんでした。相手の話を聞いたからこそ、最初から用意していた商品ではなく、その場で見つかった悩みに合う出口を示せたのです。

「聞いてから選ぶ」ために、出せるカードを用意しておく

対話で提案する商品を後から選ぶには、相手の話を聞いた後に出せるカードを準備しておく必要があります。

自分の商品には何があるのか。専門外の相談を紹介できる相手はいるか。それぞれの商品を説明する販売ページはあるか。こうした選択肢を持っていれば、会話から新しい需要が見つかったとき、相手に合う出口を示せます。

反対に、必要な商品や紹介先がなければ、せっかく相手の困りごとが分かっても、その場で提案できません。会話の中で「この人には別の商品が必要だ」と分かったら、同じ相談を受けたときに備え、その商品を用意するか、紹介できる相手を探しておきます。


まとめ:売り方に合わせて、決める順番を変える

次に予定している販売の場を一つ思い浮かべてみてください。

発信で相手を広げすぎないこと。対話で最初の商品に縛られすぎないこと。二つを区別できれば、発信では伝える内容が明確になり、対話では目の前の相手に合わない商品を押しつけずに済みます。

次のセールスを始める前に、その場で相手の話を聞けるかを確かめてください。発信では、届ける相手と商品を先に決める。対話では、目の前の相手の話を聞いてから、提案する商品を決める。売り方に合わせて、この順番を使い分けるのが僕の考え方です。

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