住宅営業を辞めて起業したとき、僕は自分に何ができるのか、さっぱり分かっていませんでした。営業の経験があったのに、自分のセールス力が武器になるとは、1ミリも思っていなかったんです。

「自分には何もないから、儲かるらしいアフィリエイトやFXを始めようかな」。最初は、そんなことを考えていました。

何か商品やサービスを作りたいのに、売るものが見つからない。その気持ちは、僕にも分かります。ただ、そのときに見落としやすいのが、すでに経験してきたことや、自分には簡単にできることです。

辞めた仕事の経験を、強みから外していた

僕が営業の経験を強みだと思えなかったのは、住宅営業を辞めてきたからでした。自分の中には「その世界で挫折して、諦めて、ここにいる」という感覚があったんです。

人から見れば営業の経験がある。でも本人にとっては、辞めてきた仕事。だから、自分の経歴なのに、これから使えるものとして数えていませんでした。

できることほど、自分よりすごい人の存在も分かります。「あの人にはかなわない」と思っているうちに、自分にもできることがある、という事実まで見えなくなってしまう。強みを探すときには、この思い込みが落とし穴になります。

もしあなたにも、経歴を聞かれたら話せるのに「これはもう辞めたから」と外している仕事があるなら、その経験も書き出してみてください。僕自身が見落としていたのは、まさにそこでした。

「簡単だから誰でもできる」は、価値がない理由になる?

僕は、ホームページ作成サービス「ペライチ」のサポーターとして支援をしてきました。ペライチを使える方に支援の仕事を勧めると、「でも、ペライチは簡単だから誰でもできるじゃないですか」と言われることがあります。

いや、僕はその商売、できていますけど。

簡単にできるというだけで、自分から可能性を消してしまっているんですよね。もっと上の技術を身につけたい気持ちは大切ですが、今できることまで使わずにいたら、始める場所がなくなってしまいます。

僕がビジネスを考えるときの基準は、お客様の役に立つか、喜んでもらえるかです。自分がその技術をどれほど難しいと感じるかだけでは、決めません。

ペライチの支援を「簡単だから」と外す前に、その支援で助かる人がいるかを考える。自分の技術を眺めるところから、お客様を見るところへ、視点を移してほしいんです。

デザイナーではなかった僕が、Canvaセミナーを開いた理由

肩書きになっていない「好き」も、見落としやすいものです。僕はデザイナーではありませんし、デザイン力が高いとも思っていません。それでも、自分で何かを作るのは昔から好きでした。住宅営業をしていた頃には、Excelでオリジナルのチラシを作っていたくらいです。

その延長にあったのが、デザイン作成ツール「Canva」のセミナーでした。Canvaが大きく流行り出す前頃に開催したところ、たくさんの方に来ていただけました。

そのセミナーで僕を知り、その後も発信を見続けてくださった方から、2年越しにお問い合わせをいただくこともありました。流行が人と出会うきっかけになり、出会った後の関係を続けるリストマーケティングが、後のお問い合わせにつながっていたんです。

このCanvaセミナーでは、営業時代からチラシ作りが好きだった僕の興味と、世の中の関心が重なっていました。流行を取り入れるときにも、その分野に自分の興味があるかを確かめてほしいんです。

好きなことなら、学ぶことや、手間のかかることにも取り組みやすくなります。反対に、興味がなく、ただ儲かりそうだから始めたものは、続けて伸ばしていくのが難しい。商品やサービスの材料を探すときには、「できるか」に加えて「好きか」も見てほしいと思います。

新しい勉強を探す前に、今ある材料を書き出す

自分のできることを見つけるために、僕が勧めているのは、過去の経歴や強みを書き出すことと、人に聞くことです。頭の中だけで「何もない」と結論を出さず、まずは自分がしてきたことを並べてみます。

辞めた仕事の経験、自分には簡単な作業、好きで続けてきたことから、誰の役に立てるかを考える図解

そのとき、辞めた仕事の経験も、自分には簡単な作業も、好きで続けてきたことも、候補から外さないでください。一人で考えても分からなければ、周りの人に、自分がどんな人間に見えるか、何ができると思うかを聞いてみる。自分の見方だけでは、僕の営業経験のように取りこぼすことがあるからです。

勉強は、もちろん続けるべきです。ただ、「自分には何もない」と決めつけたまま、新しい領域の勉強へ次々に向かうことは勧めません。今ある経験を確かめ、自分の柱にするものを持ったうえで、そこを育てるために学んでほしいんです。

材料が見えてきて、誰に何を届けるかを具体的に組み立てる段階になったら、喜ばれるコンテンツの作り方も参考にしてください。


「売るものがない」と決める前に、誰を助けられるか

僕は、営業を辞めた自分の経歴を、これからの仕事に使えるとは思っていませんでした。だから「強みがない」と感じる人に、新しい武器を探す前に、今までの自分を見直してほしいと伝えています。

起業して最初の仕事を作る時期は、僕は茨の道だと思っています。好きなことであっても大変な時期はあります。その時期を越えて取り組むうえでも、自分の興味や楽しさを置き去りにしないことは大切だと思います。

書き出した経験を見て「たいしたことはない」と消したくなったら、その前に、誰がそれで助かるのかを考えてみてください。僕が商品やサービスの材料を選ぶ基準は、お客様に喜んでもらえるかどうかです。

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